鍬山神社(くわやまじんじゃ:京都府亀岡市上矢田町)~゛矢田の紅葉゛の名所に潜む、出雲神と八幡神の不和伝説
゛矢田の紅葉゛と呼ばれて、その真っ赤に燃えるような紅葉で知られる神社です。本年度から11月の紅葉期には駐車料金を頂きます、との神社公式HPの案内が有った事から、その直前の時期に参拝させていただきました・・・境内をじっくり拝見したいこともありますので。色づき情報では「青葉」でしたが、色づきが始まった時期で紅葉の雰囲気はある程度味わう事が出来ました。さすがに名所という事で、カメラを片手に撮影に訪れる方が何人もおられました。 ・枚方亀岡線沿いの大鳥居。境内と駐車場はこの少し奥です 【ご祭神・ご由緒】 鍬山宮に祀られるのは大巳貴神こと大国主神。そして、一応境内社の八幡宮に応神天皇がお祭りされています。 社伝では創建は709年とされる、桑田郡所属の式内社です。太古、亀岡盆地は沼胡で大蛇のひそむところだったのを、出雲大神が八神と黒柄山で話合い、鍬で浮田の峡(保津峡)を掘り開き、水を山城国に流して今のような平地にしました。そして、人々は出雲大神を天岡山(面降山)の麓に祭って、「鍬山大明神」として崇めました。以来、この神は神無月の 出雲大社 での神の集まりには参加せず、郡内の八社がこの神社に集まったとの伝えもあるようです。 神社の名前の由来としては、先の社伝にある゛鍬゛が山を成したから、と言う所伝があり、また近くの大堰川の右岸にも大山咋神を鋤に象徴して祀るという桑田神社があります。明治以前には請田(うけた:浮田)大明神と呼ばれ、黒柄山に集まった八神の一神だったとのこと。対岸にも大山咋命を祀る請田神社があります。「日本の神々 丹波」で植木行宣氏は、同じ伝説にもとづく作為の説ともとれなくはないが、開拓神にふさわしい興味ある伝承だと考えられていました。 八幡神については、1165年天岡山に天降られたので鍬山宮の傍らに祀られましたが、夜ごと雷雨があり社辺に殺伐の声があって翌朝には鳩と莵が多く死んでいたので、莵(出雲神)と鳩(八幡神)の争闘を不和の現れとみた村人が、八幡宮を杉谷に移し祀ったという伝説が残っています。 ・生い茂る木々の奥に拝殿が見えます ・拝殿の奥に鍬山宮(左)と八幡宮が並び建ちます 【中世以降歴史】 中世に、丹波に本拠を置いた丹波猿楽が知られていましたが、綾部市の梅若猿楽、日吉猿楽とともにこの地の矢田猿楽が中心でした。